建築豆知識

建築の豆知識

皆さんが日常使っている建物と同じように、鳶工事や建築の世界ももっと身近に感じていただきたい。
そんな想いから、辰野組が鳶、そして建築についての様々なトピックスを分かりやすくまとめたコーナーです。

世間一般にはあまり知られていない建設関係の伝統的な祭事があります。
新年の仕事始めとして行われる「釿始」と呼ばれる祭事です。
年の初めに技術の伝承と向上、一年の工事の無事を神に祈る儀式として行われており、その歴史は千年にも遡ると言われています。

職人の腕がいいかどうか、または設計者・ゼネコンの監督が仕上げの納まりを知っているかどうかを判断するには、建物を間近で見なければわかりません。
玄人が目に付ける建物の繊細な納まりに関する用語をいくつか拾ってみました。

「切り付け」は、壁と天井あるいは壁と床のように面と面が交わった入隅のこと。
「切り付け」が一本の直線になっていないと見苦しいことになる。

「ぞろ」は、部材と部材を接続する場合、お互いの面に段差を付けないで、同一面で接続すること。
例えば、土木工事において堅枠と横枠の「ぞろ」は難しい納まりであり、段差を付けるほうがやさしい。
「面一」ともいわれます。

「面内」は、「ぞろ」とは違って逆に段差を付ける納まりで、柱や壁などの出隅はその角を斜めに切り落としたりアールを付けたりして、いわゆる「面」を取る。
取った「面」の分だけ段差を付けた納まりが「面内」になります。

「ピン角」は「面」を取らない出隅のことです。
木やコンクリートの「ピン角」じゃ角が欠けやすいので避けるのが一般的であるが、意匠的に要求されることもあります。

「逃げ」は、部材の取り合いにおいて加工誤差や取付け誤差を吸収するためにあらかじめ考慮された隙間や余裕のこと。
「逃げ」のない納まりは失敗を招くことが多い。

「送り」は格子や垂木などのピッチ・間隔のこと。

ゴーヘイ、ゴーヘイ、はいストップ。ちょいスラー、ちょいスラー・・・おっとスギヤマー」 クレーンの運転手に合図する言葉です。
わかりやすく直すと「巻き上げて、巻き上げて、はい止めて。ちょっと下げて、もうちょっと下げて おっと行き過ぎー」となります。

「建設中の高層ビルの屋上に載っているクレーンはどのように解体するんだろうか。」
図を見ながら解説します。

大きなクレーンから小さなクレーンが順番に並んでいますが、解体順序は、まず自分(①)より小さいクレーン(②)を組み立て、そのクレーンで自分を解体します。
解体が終わったらさらに小さいクレーン(③)を組み立てて初めの解体用クレーン(②)を解体し、以下クレーンを順次小さくし、最後はすべて人力で解体してエレベーダーで地上に降ろして解体は終了します。

同じ「かんり」でも「監理」と「管理」があって紛らわしい言葉です。
「工事監理」は工事が設計図書通りにおこなわれているかどうかを確認・監督すること。
設計を担当した事務所が工事監理を行うことが多いが、設計者とは違う独自の任務が建築士法によって定められている。
「管理」と区別する意味で俗に「さらかん」といわれます。

「工事管理」は施工者が工事をつつがなく完成させるために行う必要な手だての事です。
「監理」と区別する意味でこちらは「たけかん」と言われます。
「分離発注」は一つの工事を、例えば建築と設備のように工種に分けて、それぞれ別の業者に発注する事です。
「分割発注」は一つの工事を、例えば棟別あるいは工区に区切ってそれぞれ別の業者に発注する事、もしくは地下工事と地上工事、躯体工事と仕上げ工事のように工程を分けて発注する事を言います。

「イニシャルコストとランニングコスト」はオーナーが負担する建物にかかる費用の区分です。
「イニシャルコスト」は建物を建設する時にかかる費用で、「ランニングコスト」は建物の維持ににかかる費用になります。
「イニシャルコスト」が安くても、「ランニングコスト」が高い場合があり、またその逆もあり、設計者は両者をじまえて費用効率のよい設計を行います。